オンラインカジノで勝利金を得ることは嬉しいことですが、年間の合計金額によっては税金がかかります。しかし、場合によっては納税しなくても済むため、利益と損失額をしっかり管理することが大切です。今回は、税金の計算方法や確定申告についても詳しく解説していきます。
オンラインカジノで稼いだお金が課税対象となる理由
オンラインカジノは稼いだ金額によって、「所得税」の対象となるため納付義務が発生し、確定申告をする必要があります。
そもそもオンラインカジノで稼いだお金は、なぜ税金として支払わないといけないのでしょうか?カジノで得た収益=個人の収入と判断されるため、一般的な会社員の給与と同じように、1年間の収入として課税対象になります。
また、オンラインカジノは勝利金を引き出す際に銀行の口座を通すことが多く、取引履歴が残るので税務署によって把握されやすいといわれています。そのため誤魔化すことは難しく、納税しないと脱税行為と判断されてしまう可能性もあるので、カジノで得た収益はきちんと管理して納税しましょう。
「所得税」といっても収入の種類によって区分が異なるため、計算方法も違ってきます。
まずは、オンラインカジノで稼いだお金の所得区分について説明していきます。
カジノの勝利金は一時所得に分類される
オンラインカジノで得た所得(収入から必要経費を引いて金額)は、「一時所得」に分類されます。
一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます」と国税庁のホームページで説明されています。
つまり、一時所得は「労働以外で得た一時的な所得」と覚えておくといいでしょう。
どのようなお金が一時所得に分類されるのか以下に詳しくまとめました。
懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
- 競馬や競輪の払戻金
- 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
- 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
- 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
出典: 国税庁 No.1490 一時所得
オンラインカジノで得た賞金は、「競馬や競輪の払戻金」または「懸賞や福引きの賞金品」に該当するため、税金の対象になると法律で定められています。
オンラインカジノは出金に記録が残る
オンラインカジノでは、電子決済サービスや仮想通貨などさまざまな出金方法がありますが、最終的に銀行口座でお金を受け取ることになるでしょう。
冒頭で簡単に触れましたが、銀行口座を利用するとオンラインカジノとの取引記録が残るため、資金の流れが税務署に把握されやすくなります。
銀行口座に着金しない方法もありますが、カジノで利用されている電子決済サービスは実生活で使用できるところが少なく、仮想通貨も日々の生活では利用しにくいでしょう。
やはり使い勝手を考えると銀行口座が一番用途が広いため、それ以外の方法でお金を受け取ることは難しいようです。
参考 : 「オンラインカジノの出金方法と出金できない場合の対応方法」
オンラインカジノではいくら税金がかかる?【税金の計算方法】
オンラインカジノの税金は一時所得となりますが、会社に勤めている方は所得税として納税することになります。「税金の計算って難しくて苦手」という方は、意外と多いのではないでしょうか。
インターネット上では、検索すると税金を求めるための計算式などが説明されていますが、どの項目がオンラインカジノで使用した金額に当てはまるかが分からないと、そもそも計算することができないですよね。
そのため、ここではオンラインカジノでプレイした場合を例を挙げて、所得税をできるだけ簡単に説明していきます。税金の計算が苦手という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
一時所得の計算方法
繰り返しになりますが、納税するにはご自身がオンラインカジノでどれだけ稼いだのか、算出した収益によってどれだけ「所得税」を納めるべきなのか、しっかりと把握する必要があります。
所得税を求めるには、まずオンラインカジノの一時所得を計算する必要があり、その計算方法が以下になります。
総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
出典: 国税庁 No.1490 一時所得
計算式だけ見せられてもどうやって計算していいか分からない、という方もいらっしゃると思いますので、分かりやすく例を挙げて説明していきます。
まず、Aさんは前年度の間でオンラインカジノを5回プレイしました。プレイした履歴は以下の通りです。
上の表を計算式を使って求めると、一時所得は10万円になるのですが、それぞれの内訳について詳しく説明していきます。
【収入金額90万-支出金額30万円-特別控除額50万円 = 一時所得 10万円】
まず、収入金額の90万円は収益が発生した3月(+40万円)、9月(+30万円)、11月(+20万円)の合計です。5月(-10万円)、7月(-5万円)の損失額は、一時所得に計上することができません。
支出金額は、オンラインカジノにベットした金額の合計となります。こちらも損失額は計上できないため、3月(10万円)、9月(10万円)、11月(10万円)分の合計となっています。
このように、オンラインカジノにかかる一時所得では、利益が出た金額のみ計算します。損失額は収入金額や支出金額に含むことができないため、合計しないように気をつけてくださいね。
一時所得の特別控除額とは
【収入金額90万-支出金額30万円-特別控除額50万円 = 一時所得10万円】という計算式では、「特別控除額」として50万円が差し引かれています。
この特別控除額とは、収入金額から必要経費の合計額を引いた金額です。
上限は50万円と定められており、50万円以下のときは該当する金額と同等の金額が差し引かれます。
多少の誤差はありますが、オンラインカジノで稼いだ金額が50万円以下であれば、支出金額と特別控除額を差し引いてマイナスとなるため、カジノにかかる税金は支払わなくて済みます。
一時所得は所得税と合算して払うことになる
オンラインカジノだけで生計を立てている方は別として、会社員の方など会社から給与をもらっている場合は、所得税を支払うことになります。
所得税は、計算方法が少し複雑なので1つずつ説明していきます。
まず最初に、給与などの所得+一時所得の課税対象額で所得額を計算します。
先ほど登場したAさんの給与所得が500万円だった場合、一時所得の課税対象額は一時所得×1/2という計算式で割り出せるため、最初に割り出した一時所得10万円✖1/2分で5万円となり、所得額は505万円となります。
「所得税」と「所得額」は名前が似ていますが、所得税は個人の所得にかかる税金のことで、所得額は1年間の収入から必要経費や控除を差し引いた金額です。2つの言葉は意味が異なるため混同しないように気をつけましょう。
次に所得税の計算方法ですが、(所得額-所得控除額)✖所得税率-所得額に対する控除額=所得税となるため、所得額505万円-所得控除額48万円✖税率20%-所得額に対する控除額42万7,500円=所得税48万6,500円となります。
今回、所得控除額は基礎控除である48万円のみで計算していますが、配偶者控除や社会保険料控除など全15種類あるため、配偶者の有無や保険の加入などで所得税はより安くなるでしょう。
所得額に対する控除額と所得税率は、課税される所得金額によってさまざまで、国税庁のホームページに詳しく掲載されています。所得額が505万円のAさんは、330万円以上694万9,000円以下に該当するため、税率20%、控除額は42万7,500円で計算しています。
カジノで負けた金額は控除対象にはならない
所得税の計算で注意したいのが、オンラインカジノで負けた金額についてです。
オンラインカジノでは損失分を差し引いて計算したいところですが、残念ながら控除の対象とはなりません。しかし、一時所得の計算で特別控除を差し引いた額がマイナスになった場合、カジノで稼いだ金額は課税対象にならないので確定申告は不要となります。
支出額を申告漏れしてしまうと、本来おさめるべき税金と大きな差が出てしまいます。手間かもしれませんがしっかりと確認して、正しい税金を収めるようにしましょう。
海外のオンラインカジノで稼いでいるのになぜバレるの?
オンラインカジノは主に海外に拠点を持つ会社が運営しているにも関わらず、なぜ日本人プレイヤーが賞金を稼いでいるということが、日本の税務署で把握できるのでしょうか。
そもそも税務署とは、国民が納める税金を管理する国の機関です。税の徴収を行うだけでなく、税理士制度運営に関する手続きや印紙の模造を取り締まることもあります。また、法人や企業だけでなく、個人に対しても定期的に税務調査を行っています。
税務署は金融機関の情報を調べられるため、例えばBさんの銀行口座に300万円が振り込まれた場合、いつ、どこから、どの口座に振込まれたのかまで把握できるといわれています。
そうはいっても、日本国民の金融情報を自由に調査できるわけではありません。
調査するのは銀行や企業から報告が上がったときで、特に銀行は海外から送金があったり、送金額が100万円を超えたりする場合は、税務署に報告することになっています。そのため、オンラインカジノの収益を隠すことはできない、と考えたほうがいいでしょう。
他のギャンブルも納税義務が発生する
「他のギャンブルでは利益が出ても税金を払ってないじゃないか」と、思う方もいるかもしれませんが、日本ではギャンブルで得た利益額に応じて税金の納付義務があります。
競馬や競輪、パチンコなどのギャンブルで高額な賞金を得た場合でも、税務署から指摘されないことがあるでしょう。それは、銀行を介さずに直接現金を得ているからだといわれています。
現金を直接受け渡しとなると、その日に誰がいくらもらったのかまで税務署が把握するのが難しいため、仕方なく見逃している状況といえます。つまり、たまたまギャンブルで利益を得たのがバレていないだけであり、いつ所得隠しだと指摘されるか分からないということです!
オンラインカジノ以外のギャンブルであっても、稼いだ金額によっては一時所得が発生することになり、支払わないと追徴課税の対象となるため必ず納めるようにしましょう。
ビットコインで出金すると税金の対象となる
オンラインカジノでは、ビットコインを始めとしてライトコインやイーサリアムなど、さまざまな仮想通貨を使用することができます。
カジノを利用する方の中には、銀行送金ではなくビットコインに換金する方もいるでしょう。その場合、税金の対象になるのでしょうか。
結論からいいますと、ビットコインで出金した場合でも課税対象となります。
ビットコインは「雑所得」に分類され、会社勤めの方が副業で得た利益もこれに該当します。雑所得の計算方法は公的年金等とそれ以外のものの2種類あり、ビットコインの場合は公的年金等以外のほうで求めることができます。
雑所得は総収入額-必要経費で計算でき、一時所得のように所得税に合算して納税することになります。しかし、雑所得には控除がないため税金が高額になることがあり、出金方法としてはあまりおすすめできません。
参考 : 「ビットコインが利用できるオンラインカジノを紹介|入出金の方法も解説」
オンラインカジノで税金が発生する期間
オンラインカジノで稼いだお金には税金がかかることがありますが、1年間のうちどの期間が課税対象となるのでしょうか。
課税対象になる税金は、確定申告の前年度の金額で判断しています。つまり、前年度の1月1日~12月31日までの間で、オンラインカジノで稼いだ金額が合計50万円を越えた場合、「一時所得」として納税する必要があります。
例えば、2020年の5月13日からプレイを始めた場合、5月13日~12月31日までの収益を2021年の3月頃までに確定申告として報告します。
もちろん利益が50万円以下だった場合は、課税対象にはならないでしょう。
逆に、オンラインカジノをプレイしていた期間が短くても、50万円以上の収益を得たのであれば納税しなくてはいけません。
確定申告の方法と流れを分かりやすく解説!
確定申告をするには、オンラインカジノの収益と損失を確認することになります。そのため、カジノでプレイをする度に、賭けた額と損失額または収益を書き留めておくとよさそうです。
ベラジョンカジノのように、損失額と収益を日付ごとにまとめて表示してくれるところもあるため、そのようなカジノでプレイしている方はまとめるのが楽かもしれませんね。
スムーズに確定申告の申請ができるように、できれば年末頃から課税対象となる「一時所得」を計算しておくとよいでしょう。
それでは、確定申告を行うまでの流れを簡単に説明していきます。
①確定申告に必要な書類を準備する
確定申告をする際は、書類を事前に揃えておくとスムーズに進められます。以下は、会社員でオンラインカジノをプレイしている方用の書類一覧です。
- 確定申告書
- マイナンバーカード
- カジノ収支表
- 源泉徴収票(給与所得がある方)
- 控除関係の書類
確定申告書は、国税庁の公式サイトや区役所などでもらうことができます。確定申告書Aと確定申告書Bの2種類ありますが、Bは誰でも利用できるのでもし迷ったときは、確定申告書Bを選んでください。
源泉徴収票は2019年の税制改正により添付が不要となりましたが、確定申告書に記載する項目があるので、用意しておいたほうが記載しやすくなります。
また、会社員の場合は徴収票、支払調書、経費の領収書などを用意することになるでしょう。
確定申告で必要になる書類は、お勤めの会社や個人の所得によっても変わってくるため、不安な場合は税理士や税務署に問い合わせると確実です。
②申告書を作成する
確定申告書を初めて提出する方など、どう書いていいか分からない方もいるかもしれません。
記載のやり方は、国税庁の公式サイトに記載例があるため参考にするとよさそうです。
一時所得がある場合は、第二表の「雑所得(公的年金等以外)」という項目に記載することになります。
その際、収入金額と必要経費等を記載することになるため、オンラインカジノにベットした金額と収益額が記載したものを用意しておきましょう。
③準備した書類を提出する
確定申告は、基本的に管轄の税務署に提出しに行きますが、市役所や区役所でも提出することができます。ただし、市役所や区役所では確定申告を受付けていないところもあるため、事前に必ず確認しておきましょう。
税務署に提出しにいく場合は、住民票に記載されている住所を管轄している税務署に行きます。自宅の近くに税務署があるからといって、そこが管轄の税務署であるとは限りません。初めて確定申告をしに行くときは、管轄の税務署がどこにあるか確認しておくとこが大切です。
近年は「e-Tax」というシステムがあり、インターネット上で確定申告を行うことも可能です。税務署や役所が自宅から遠い、または行く時間ないという方は利用するとよいかもしれませんね。
④確定した所得税を確認する
確定申告をして所得税が確定した後は、内容に問題がないか確認することが大切です。
所得税は国税のため、住民税のように納付書が自宅に郵送されてくるわけではありません。確定申告で生じた所得税の納税期間は3月末日ですので、納税漏れがある方は忘れずに対応しましょう。
住民税は住民税通知決定通知書により、税金の内容を確認することができます。
確定申告を「e-Tax」で提出したときは、提出直後にデータの表示・保存を促す画面が出てきますので、きちんと保存しておくと後で確認するとき楽になるのでおすすめです。
会社にオンラインカジノの利用をバレないようにするには?
会社勤めしている方の中には、自分がオンラインカジノをプレイしていることがバレたくない、という方もいるでしょう。
できるだけ会社にバレないようにするには、住民税を特別徴収(給与から天引き)から普通徴収(直接納税する)に変えてもらい、自分で支払うようにするとよいでしょう。
さらに、確定申告書の2面にある「給与所得者がその他の所得にかかる住民税の徴収方法」という項目で、「自分で納付」というところに〇をつけて所得税を納めるという方法もあります。
また、一時所得の特別控除でマイナスになるようにプレイするのも1つの方法です。副業を禁止している会社の場合は、オンラインカジノのプレイを止めたほうがいいかもしれません。ただし、副業を推進している企業もあるため、そのようなところでは問題されないことも多いでしょう。
住民税の通知先を確認する
会社員の場合、住民税の納付書が勤務先に届くようになっているため、オンラインカジノの一時所得と所得税を併せて確定申告すると、勤務先にばれてしまうでしょう。
前述のとおり、確定申告書の第二表に、住民税に関する記載がありますので必ず「自分で納付」にチェックを入れてください。会社にオンラインカジノをプレイしていることを知られたくない、という方は特に注意したほうがいいポイントになります。
さらに、オンラインカジノで多額の収益を得た場合、単純に所得が上がることで住民税も高くなるということを覚えておきましょう。
オンラインカジノで税金を納めるときの注意点
オンラインカジノで稼いだときの納税の方法について、詳しく説明してきましたが税金を収めないと追徴課税が発生し、より高額の税金を収めることになります。
税金が高いと払うのが憂鬱になるかもしれませんが、納税は義務ですのできちんと支払いましょう。
そのほかにも、オンラインカジノで稼いだお金を納税する際、注意すべきポイントがあるので解説していきます。
確定申告書にはオンラインカジノのことを記載しないほうがいい
オンラインカジノは主に海外で運営されているため、日本でプレイしても憲法に違反しているわけではありませんが、原則として賭博行為は禁止されています。
そのため、オンラインカジノのプレイはグレーゾーンにあたり、オンラインカジノで得た収益だと明言しないほうがいいようです。税務署から問い合わせがあった場合は別として、確定申告では直接的な表現は避けたほうが無難かもしれません。
確定申告の提出期限が過ぎると無申告加算税が発生する
確定申告では、提出する前年の1月1日~12月31日の所得と税金を計算して記載しますが、提出期限は毎年2月16日~3月15日までとなっています。
2020年度はコロナ禍という現状を踏まえて、提出期限を大幅に延長していましたが、原則として3月15日までとなるしょう。確定申告は提出期限を過ぎてしまうと、期限後申告となってしまい「無申告加算税」を請求されることがあります。
「無申告加算税」とは、無申告または申告忘れなどに課せられる罰金です。確定申告の期限後、1カ月以内に申告・納付していれば無効となりますが、税務署から指摘されると無申告加算税を支払うことになります。
税務署から指摘されると、納税額のうち50万円以内であれば年率15%が加算され、50万円以上の場合は年率20%が課税されます。つまり、納税額が50万円の方が税務署から指摘されると、7万5,000円を追加で支払うことになるので注意しましょう。
オンラインカジノで稼いだときはきちんと納税しましょう
今回はオンラインカジノで稼いだ金額によって、一時所得として税金を支払うことや計算方法、確定申告のやり方などをご紹介しました。
海外からの送金や100万円以上の出金をした場合、銀行から税務署に連絡がいくようになっているため、金融機関の情報を調査されることがあります。出金時に銀行を介するため誤魔化すことが難しく、50万円以上の利益が出た方は納税をすることになると考えておきましょう。
税金の金額が高額だと「支払いたくないなぁ」と感じるかもしれませんが、きちんと納税をしないと追徴課税されたり、最悪の場合は逮捕されたりすることがあります。多く払いすぎないようにきちんと確定申告をして、無駄なく税金を収めてくださいね。